(参考)MECE


相続の現場に関わり丸15年を超えました。サイト責任者が考える「法律の専門家が遺言者さまにアドバイスすべき視点」を「表」とし、所見「よくある実態等」を記載したものです。(特に、専門家に相談されずに『遺言書』を作成される「遺言者さま」にはご一読・ご確認を強くお奨めします。 

MECEとは、Mutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの略で漏れも重なり合いもない状態(モレやダブリのない状態)を意味し、法律を考える場合フレームワーク思考(物事の全体を枠として捉えて考えること)をベースに、MECEが必要とされます。

          「遺言書」はあるか / ないか(形式・実質、有効か)契約によるスキーム
        故意・過失 / 善意・悪意の有無
        被相続人の意思  /相続人の意思(協議) /  裁判(調停、審判含む)
          誰が(Who) 何を(What) どこに(Where) いつ(When) なぜ(Why) どれくらい(HowMuch)

相続対象か否か

形式

・実

(プラ

ナス)

 

単独所有/共有

分割

・現

           
制限物権            
貸/借            

/

           
寄託            
その他            

<まずは、表内の用語を解説します>

よこ軸:

「遺言書」の有無(形式的、実質的に有効か)を確認します。

 (実質とは法的要件のみではなく、<付言事項>や各相続人ごとへの<お手紙>を含み「円満相続」実現に役立つ

  もの全てを含みます。)

・故意・過失、善意・悪意 問題となる場合があります。

(⇒下記【重要条文解説】ご参照。)

 

・その結果によって遺産の分割方法が変わります。

 「被相続人の意思<指定分割>」か「遺産分割協議<協議分割>」か「裁判所の関与」(調停・審判、裁判)<法定分割>か、となります。

・問題解決のための「5w1H」(問題の真因把握のための思考の切り口)です。

 

・誰が(who)とは、被相続人(遺言者)、相続人、その他の人です。

 ※ 自然人だけとは限りません。「法人設立」し、法人特有の制度を活用する方法もあります。

・何を(what)とは、相続財産です。

・どこに(where)とは、相続財産がどこにあるか(不動産なら住所、その他は保管場所<金庫の中>等)

・いつ(when)とは、現在(そして≒相続発生日)、贈与日を必要とする(例外的被相続人の財産以外の)財産もあります。

※※『遺言書』をいつ作る(作られた)か、というWhenが問われる場合もあります。「時」という要素は、特に【重要】です。(認知症になってからでは遅すぎるのです。)

・なぜ(why)は、購入したとか、相続を受けたとか、贈与したとかの事由。

    

・どれくらい(HowMuch)とは、現在(≒相続発生日)の相続財産額です。あるいは贈与時価額。 

  遺言によらない「遺産の承継」があります。いわゆる「信託契約」(商事、民事)がありますが、ここでは記載するのみにとどめます。

 

たて軸:多元な要素で現実をみます。

(実生活は多元です。以下の要素で検討します。)

財産権(相続の対象)であるか/それ以外か・・・財産権(所有権、制限物権、債権、知的財産権等相続の対象となるもの)であるか、非財産権で考慮に入れるべきは何か?

『遺言書』は遺産分割だけとは限りません、「想い」や家訓等(「付言事項」)を記載することもできます。

(複雑な世の中になっています。型どおりでは済まない時代です。財産ではなくても「手紙」や「(エンディング)ノート」等が有効である場合があります。個々の生身の人を動かすのは「法律」ではなく、むしろ「心情」である場合が多い。)  

・形式、実質・・・「名義」と「実質」と言い換えてもいいでしょう。

名義だけ「相続人の名義」とした預金は、被相続人の相続財産とみなされ(「実質」が問われ)ます。

・単独所有、共有所有、

・制限物権(地上権、永小作権、地役権、入会権)

・貸しているもの、借りているもの、占有しているもの、占有されているもの、預けているもの(寄託)、預かっているもの、その他があります。

本来、所有者が単独で所有・占有・利用しているのが最もシンプルで分かり易いのですが、現実は必ずしもそうで

はありません。

 例1)貸地、貸家(所有者は被相続人、占有者・利用者は被相続人以外<第三者の場合が多い>)

 例2)借地、借家(所有者は第三者、占有者・利用者は被相続人)

 例3)被相続人の所有する家屋に単独居住している相続人

 例4)被相続人の所有する居住自宅に同居している相続人

    例3)例4)の場合、「特別受益」にあたるかどうかが問題となり得ます。)

 

※現実問題として、分割(現金化)できるか、できないかを検討するケースが多い。

 (不動産→譲渡準備、法人への譲渡。生命保険金の契約変更(「受取人」変更)。それぞれの活用策、留意点がある。) 

 

【参考解説】: (【原則】【例外】の「MECE」) 

被相続人の財産ではないものを相続にかかり、特別に相続財産に含む場合があります。

 ・サイト内「相続人とは?」>『公平配分の基本原理』! で述べています被相続人から相続人に遺贈・贈与された民法上の「持ち戻し分」であり、税法上の相続時精算課税の適用又は暦年課税加算適用されるものです。 

  (「税額計算の方法」の※3が解り易いでしょう。)

 被相続人の財産【原則】以外のものを相続財産に算入するという【例外】にあたるでしょう。

 

【原則】【例外】 の<中間的位置づけ>にあるものもあります。  

  ・「税額計算の方法」の※2、みなし相続財産」です。税法特有の考え方によります。

     (逆に民法が特有といえるかもしれません。)

  ・「葬儀費用」の扱いも税法特有です。

   (民法では相続発生時に債務として存在していないとして原則、債務扱いしません。)

  「家なき子の特例、8割減額」というのも、形としては【原則】の範囲ですが、実質は

    税法特有の超例外的考え方と言えるのではないでしょうか。

   税額計算の方法」の※1です。頭から8割差し引かれます。)         


なぜ、このような「表」で考える?この意味と目的は?


1.様々な要素を整理するためには全体を枠(フレーム)で捉えて考える方が、文章で述べるより見た目も明確であるし、思考も容易になります。

(一目で全てを視野に入れることができます。鳥瞰視でき、何を考えるべきか鮮明になります。)

 

2.この画面は平面ですから、2軸(2次元)が限界ですが、人間はイメージを膨らませて、頭の中では3次元、4次元、多元で考える「想像する」ことができます。この想像の喚起をサポートするには「フレーム思考」が有効です。枠内の一つ一つ(各要素)に想いを致すことが可能です。

(「想い」から「思考」へ!「思考」に「もれ」がなくなります。)

 

多くの相続争いは、全体(フレームワーク)の思考方法や各要素につき、「モレ」や「瑕疵」があり、かつ、情報格差から疑心暗鬼が生まれるところにあります。(瑕疵があっても格差がなければ「全員が同じ次元の情報レベルに存在していれば」、疑心暗鬼は生まれず、原則は民法の強制法規に抵触しない限り、それなりに相続が完了します。)

 

また、残念なことですが、人間の性として意図的に「モレ」「瑕疵」を創り出し、『遺言書』作成等に関与する相続人も存在します。

関与が悪いのではなく、その内容(目的)がよくない場合があるのです。

 

【重要条文解説】 

(相続人の欠格事由)

民法第891条 次に掲げる者は、相続人となることができない。

一  故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者

二  被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。

三  詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者

四  詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者

五  相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

 

 

一、二は(刑に処せられるまでに至るケースは)殆どありませんが、三、四、五は結構あります。が、現実実態はそうそう欠格になることはありません。相手方の相続人が望まないからです(宥恕)。また、そこに付け込む相続人も存在します。(この条文そして三号、四号、五号を知らないということもあります。多少の身勝手は許されると考えるのでしょう。)

⇒このような余地を与えてしまった、「遺言者」被相続人)の責任でもあります。

 

被相続人も民法条項までは知りません。なお、民事調停においても、ここを積極的には採用することはありません。なぜならば、調停の趣旨に反するからです。

なお、具体的にどのような行為が該当するのか、実態は多様であり、かつ、ここで説明するのは適切ではありませんので、割愛します。(「不当な利益目的」説等「判例」が出ています。)

 

『遺言書(原案)』を作成されるにあたり、「どう進めたら良いか?」、「疑問・お悩み・お困りごと」を抱えている「遺言者さま」は、お気軽にお問合せください。

 

相続発生後における紛争、以下【これが紛争の中でも多くある実態】です! 

<事例1>これで全てなんて有りえない! 「what」に対する疑念! 典型例です。

 (不動産は、隠しようがありませんが、金融資産とくに「現金」残高(「使途不明金」)の争いは多い。

 

口座名義人の死亡の事実を知った金融機関は、口座を凍結します。払出しも入金できなくなります。

 当然ながら、死亡日から預貯金口座の凍結日までにギャップがあります。(区市町村への「死亡届け」が金融機関に知らされるわけではありません。)

               

 この間、いかに多くの出金がなされていても、相続人全員が合意をすれば(※)、この現金が問題になることはありません。

(専門家がついている場合には、基本的には「相続開始時」の「残高証明書」の発行要求をします。)

(※)相続税の申告が必要な場合は、別です。相続発生日の「残高証明書」預金通帳等の提出が求められています。

 

なお、この出金(「使途不明金」)に疑義のある相続人は、金融機関へ「相続発生日」以降の払出しの情報を開示することを請求することができ、請求を受けた金融機関は、開示が義務づけられています。

 

しかしながら「要求して真実を知るには、通常は相続人の躊躇するところであり、多くの相続案件は、疑心暗鬼のみが残ったまま【遺産分割協議書】に著名捺印、「印鑑証明書」添付という形で金融機関は「払出要求」に応じ、預貯金の分割は完了します。

完了はしますが、現金の「使途」については「疑心暗鬼」は解消せずに最悪の場合、(金額にも拠るでしょうが)その後の人間関係に支障を来たすことになります。

 

 

<事例2>1人の相続人が占有しているものの扱いにつき、被相続人(遺言者)の意思にかかり、相続人間で揉めることが多い。

 

(1):(上記の現預金の扱いと同じような事例です)実質、介護を任された相続人やその配偶者が管理する現預金につき、被相続人には「寄与(謝礼)の前渡し」との意思があったにも関わらず、客観資料を欠く場合、他の相続人からは、「(残高が)こんなに少ないわけがない」などと疑念をもたれます。真摯に一所懸命に介護に尽くした相続人にしてみればこれ程辛いことはないでしょう。

 

<事例1>と同様に、「預金通帳」があればそれに拠りますが、「相続発生前」の払出について金融機関へ開示請求をし、「使途不明金」につき「故人のための支出」でなかった場合には、その使途不明金を遺産に戻して計算します。故人の意思で支出されていた場合、受けた相続人の「特別受益」とされます。が、ここまでやると以後の人間関係の円満な継続は難しくなるでしょう。

 

(2):被相続人の所有する家屋に居住(占有)する相続人の扱いをどうするか。

      この場合は、「使用借相当額の特別受益」となります。

     一方、被相続人と相続人が同居している場合(相続人に独立の占有権原がない場合)は、特別受益にはあたりません。

 

★以上のように「占有」(「寄託(預け)金」)につき「被相続人」の意思が不明瞭である(『遺言書』がない、あっても形式に流れ、真意が分からない、まして「契約書」等の確証がない)と、揉める原因となります。

(⇒「契約書」等確証については、「財産管理委任契約」「任意後見契約」等を結んでおくことが求められます。

 

『財産リスト』作成の段階から、上に述べましたように「モレなく」「ダブリなく」整備し、瑕疵<キズ>のない『遺言書』 「付言事項」作成につなげ、「遺言者さま」の思を明確にした「指定分割」を完璧なものにしなければなりません。

 

最後に、「民法の基本原理」につきましては、当サイト内 「相続人とは?」>「ご留意事項」に紹介しておりますので、合わせてご覧ください。

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