過失責任の原則:

民法の三大原則は、先に述べました【1】私的自治の原則(契約自由の原則)の他、【2】権利能力平等の原則、【3】所有権絶対の原則 とされますが、自由な活動の結果、過失によって他人に損害を与えた場合には、その損害を賠償しなければならないという原則を加え、民法の四大原則といわれることもあります。この【4】番目の原則が「過失責任の原則」です。

 

 無過失に責任を負うとすると【1】私的自治の原則で保障されている「人の自由な法律行為」や「経済活動」を萎縮させてしまいます。「損害賠償責任」を「(故意)過失ある場合」に限定することで、人の自由な経済活動を実現・保障し、促進しようとする「過失責任の原則」は、「私的自治の原則」を底から支える重要な考え方です。

 

民法法典上、具体的現れの代表的な条文は、不法行為に関する709条です。

民法第709条(不法行為による損害賠償)

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保障される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 

【ご参考】

※この原則を貫くと、被害者の救済が十分でなくなる場合があります。高度経済下、大企業に「無過失責任」を負わせる場合があります。(公害等の過失を被害者側が証明することが困難な場合が現出するからです。)そこで、民法やその他関連法は「過失責任の原則」を原則としつつも、修正を加え、加害者側に「故意過失」がなくても損害賠償責任を負うという「無過失責任」を採用しています。

民法法典上、具体的現れは、工作物の設置・保存の瑕疵に対する所有者の責任717条です。

 

民法第717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)

土地の工作物等の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。

 

なお、特別法では、鉱害賠償責任(109~116条)、原子力事業者の責任(原賠3条)、大気汚染防止法25条、水質汚濁防止法19条などに現れています

 

なお、無過失の立証を加害者側に課しているものもあり、これを中間的責任と呼びます。責任無能力者の監督者の責任(民法714条)、使用者責任(715条)、工作物占有者の責任(717条)、動物占有者の責任(718条)があります。運行供用者の責任(自賠3条)も中間的責任の一種と考えられる。

 

※民法第715条(使用者等の責任)

①ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。

②使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。

③前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。

★実際には、無過失の立証による免責が困難であり、無過失責任に近い。

 以上 『法律学小辞典』(有斐閣4版)より中間的責任(p835)、無過失責任(p1152)より引用しています。

                                 

 

 

 

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