【遺贈】(民法964条、第986条~1003条)


遺贈は遺言によって遺産の全部又は、一部を無償あるいは、一定の負担を付して相続人相続人以外の者に受け継ぐことをいいます。この遺贈を受ける者は「受遺者」と言います。遺言者が相続財産を譲りたい相手がいれば、個人、法人を問わず自由に相続財産を譲り渡すことができ、お世話になった子供の嫁に遺贈する、内縁の妻に遺贈する、に遺贈する、介護でお世話になった「いとこ」に遺贈する、どこかの団体へすべて寄付するということも可能です。

 

遺贈は遺言によって効力を生じます。ただし、相続人の遺留分に関する規定に違反して遺贈することはできません。(ただし、相続人が「遺留分減殺請求権」を行使しなければ、全額を遺贈することはできます。請求があっても遺留分を除いた財産を「受遺者」に残すことができます。

 

また、遺言者より先に受遺者が亡くなっていた場合は、その代襲相続人に相続させるとの意思があったと解される場合を除いて)その受遺者への遺贈は「当然に失効」となります。

※【重要】「予備的遺贈(補充遺贈)」の必要性:以下の2つのケースに備えて遺言者があらかじめ受遺者を(又は相続させる者)を予備的に定めておく必要があります。

  (1)受遺者(又は相続人)が遺言者の死亡前に死亡する場合

  (2)受贈者が遺贈を(相続人が相続を)放棄する場合

「予備的遺言(補充遺言)」としても同様です。したがって、上記( )記載と致しました。

 すなわち、遺贈に関しては民法994条1項(乃至32条の2)に明文の規定があり、「代襲相続することはない」(「当然に失効する」)ことは明白でありましたが、「相続させる」遺言の場合、明文の規定がなく、「代襲相続否定説」「代襲相続肯定説」が下級審における裁判例が対立していました。

 この点について最高裁判所(最判平成23.2.22民集65・2・699)にて「代襲相続否定」説に立ち「相続させる」遺言についても、原則として、予備的遺言を「公正証書」上記載しておく必要があることとなりました。(六法をお持ちの方は、民法887条、994条の【判例】ご参照ください。) 

ご留意ください。

なお、「予備的遺贈」「予備的遺言」で受贈させる者、相続させる相手は、相続人に限られることはなく、全く別の第三者であってもかまいません。

 

また、受遺者が、相続人と同じ「相続欠格事由」(民法第891条)に該当する行為を行ったときには、遺贈を受けることはできなくなります。

※遺贈には 『包括遺贈』 と 『特定遺贈』 の2種類があります。

1.包括遺贈:

包括遺贈とは、相続財産の全部又は、一定の割合で指定して行なう遺贈のことをいいます。

この場合は、実質的には相続人と同一の権利義務を負うこととなり(民法990条)、もし遺贈者に借金などのマイナス財産があれば、遺贈された割合に従ったマイナスの財産も引き受けなければなりません。 

2.特定遺贈:

特定遺贈とは、遺贈する財産を指定して行なう遺贈のことをいいます。

特定遺贈は包括遺贈とは違い、特に遺言で指定をされていなければ遺贈者の借金などのマイナス財産を引き継ぐことはありません。 

(遺贈の放棄)

相続放棄と同様に遺言により受遺者として指定された者には、遺贈を放棄することができます。

遺贈の放棄方法は、包括遺贈と特定遺贈とでは異なり、原則、遺言者が亡くなった日から3ヶ月以内に家庭裁判所に包括遺贈の放棄の申述をします

そして、3ヶ月の期間内に遺贈の放棄の申述をしないと遺贈を受けると承認したものとみなされます。(法定相続人の場合と同様です。)

特定遺贈は包括遺贈の場合と違い、期限について法律の定めがないので、いつでも放棄することができます。相続人等の利害関係者は受遺者に対して特定遺贈を承認するのか放棄するのかはっきりするように確認の催告をすることができます。

そして、受遺者が決められた期間内に回答しない場合は、承認したものとみなされます。

「遺贈の効力」:特定遺贈がなされた場合は、その財産は相続開始によって直ちに受遺者に権利移転され(民法985①)、遺産分割の対象から除外され、「遺産分割協議」は不要となります【ただし、相続人への遺贈はすべてが特別受益に該当します】。一方、包括遺贈がなされた場合は、受遺者は指定された割合に応じて権利義務を取得することになり(民法990条)、相続分を有する他の相続人と同様の立場で「遺産分割協議」に参加することになります。

 

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